創る人×raytrek インタビュー

3DCG

3Dモデルを制作するためのモデラーとして確固たる地位を築いている「ZBrush」の現状と今後の展望。

左から、ハイメ・ラベル氏、トマ・ルーセル氏、和田真一氏

3Dモデルを制作するためのモデラーとして確固たる地位を築いている「ZBrush」の現状と今後の展望。

『ZBrush』というソフトをご存知ですか? このソフトは、Pixologic社が開発している画像処理ソフトで、高いスカルプティングと 3Dモデリング機能を備えていることで知られています。当初は2Dペイントと3Dシェーディング、レンダリングを備えた2.5Dペインティングソフトとしてスタートした『ZBrush』ですが、現在では3Dモデルを制作するためのモデラーとして確固たる地位を築いています。そんなZBrushを開発しているPixologic社のキーパーソンおふたりが、今回ワンダーフェスティバル 2016[冬]への出展のために来日。日本唯一にして世界で8番目のZBrush公認インストラクター・和田真一氏にも同席いただき、ZBrushの現状と今後の展望についてお話をうかがいました。

――『ZBrush』の最新バージョン、4R7の特徴を教えてください。

トマ・ルーセル氏(以下、トマ):大きなキーフィーチャーとして、NanoMesh、ArrayMesh、ZModeler とKeyShotが挙げられるかと思います。

まずNanoMeshですが、3Dモデルをひとつ作ったら、それをポリゴン上に配置し、後からパラメーターを変更してスケールや角度などを自由に変更できます。各パラメーターはランダム性を持たせることもできるので、木の枝や葉っぱなどを表現することが可能です。

ArrayMeshは、基準となるオブジェクトに位置や角度といった変形を加えながら、リアルタイムに複製することができる、複製配列コマンドです。

ZModelerはポリゴンベースのモデリングツールで、メカやアクセサリー、環境などメカニカルなモデルの制作に最適です。

もうひとつがKeyShotです。KeyShotはレンダーソフトウェアでZBrushとは別ソフトなのですが、ZBrush内のBest Preview Renderというボタンを押すだけでZBrushからKeyShotにモデルを送ってレンダーできます。このシームレスな連携が特徴になっています。またKeyShotは、リアルタイムレンダリングが可能なため、モデリングしたデータの各パラメーターを変更しても、すぐにレンダー結果が見られるという特徴があります。アーティストにとっては、すぐに結果が見られるというのはかなり重要なことではないでしょうか。

トマ・ルーセル氏

――モデルの複数コピー機能や、リアルタイムレンダーとなるとかなり処理が重そうですが、パフォーマンスの低下はないのでしょうか?

トマ:今回のバージョンでは、64ビットの対応をさせていただきました。これで何億ポリゴンというデータを扱ってもパフォーマンスがほとんど落ちない状態になりました。

――64ビットになったことで、32ビットバージョンに比べ、どの程度パフォーマンスアップしていますか?

トマ:扱うモデルデータや、機能によって違いはありますが、約15~20パーセントはアップしているはずです。ZBrushはGPUでの処理をしていません。ですから、CPUのスピードがそのままパフォーマンスに影響します。ZBrushは、あまりに古いPCでは処理がもたつくことがあるかもしれませんが、最近のPCならほとんどの場合、快適に動作すると思います。

――近い将来のアップデートでGPUの対応や、サブスクリプション販売は考えていますか?

トマ:今のところ、どちらも考えていません。ZBrushは一度お金を払っていただければ、"昔から今もずっとアップグレードが無料"というのが私たちの考え方です。ですからサブスクリプション販売は考えていないのです。

――サードウェーブデジノスから発売中の『raytrek ZBrush 公認モデル』の、公認に至ったいきさつを教えてください。

ハイメ・ラベル氏(以下、ハイメ):このような公認PCというのは、初めてのことだったので、ご提案いただいたとき、どうしていいのかわかりませんでした。ですが、熱意を持って初めてお声がけいただいたので、まずは検証させていただくために、2台のPCをフランスまで送ってもらいました。ZBrushは先述のとおり、処理のすべてをCPUで行ないます。そしてもうひとつ重要なことなのですが、メインメモリーは多く搭載しているほうが快適に動作します。

さらに細かく言えば、ハードディスクよりもSSD搭載のほうがよいといったこともあります。つまり、PCパーツそれぞれのパフォーマンスがよくなければならず、CPUだけ速ければよいというわけではありません。公認と名付けるために、そういった全体のパフォーマンスを重要視しました。しっかりと検証したモデルなので、これからZBrushを始めたいという人は、迷うことなく『raytrek ZBrush 公認モデル』を買っていただければと思います。

ハイメ・ラベル氏

――多くの日本のフィギュア造形師が、ZBrushを使っていると知ったのはいつごろでしょうか?

ハイメ:ZBrushを発表してすぐ、使われ始めていることは知っていました。もともと粘土で造形されていた方たちがZBrushで造形すると、"粘土と違ってアンドゥできる"というのが利点と捉えてもらえたようです。

――3Dプリンターの流行はZBrushにも追い風となっているのでしょうか?

トマ:たしかにそれもあるかもしれません。3Dプリンターによって、モデリングしたものをリアルに再現できるというのは、クリエイターにとって面白いことのようです。また、映画やゲームの制作現場では、監督がイメージしたモデルやキャラクターをアーティストがZBrushで作り上げ、夜中の間に3Dプリンターでリアルなフィギュアを製作し、次の日に確認するといったクリエイティブな作業が普通に行なわれているようです。

最近では、日本でもおもちゃの製作、宝飾品のデザインなどにもZBrushと3Dプリンターの組み合わせが使われています。和田さんたちがチュートリアルビデオなどを公開してくれているからかもしれませんね。

――お話にも出てきましたが、和田さんは、どのようないきさつでZBrushの公認インストラクターになったのでしょうか?

和田真一氏(以下、和田):たまたまソフトを探していたときに見つけたのがZBrushだったんです。当時は現在のバージョンのような3Dのモデリングツールという感じではありませんでした。2Dのペイントツールで描いたものを3Dのオブジェクトに合成するような、2.5次元的なツールというべきでしょうか。

――それはいつごろのことでしょうか?

和田:バージョン2だったので、おそらく2002年くらいじゃないでしょうか。それからしばらく経って、バージョン3になった時にあらためてZBrushを使ったときに「なんだこのツールは!」って言うほど衝撃を受けたんですよ。それから英語の文献を海外のサイトなどで集めながら使っていたんですが、あるときゲーム会社の開発者向けにチュートリアルのDVDを作ることになったんです。

そしてそれをZBrushのレッスンDVDとして一般の方々にも販売しておりました。そんな時にZBrushの公認インストラクター制度があることを知ったので、Pixologic社に連絡をとりました。

和田真一氏

――返信はあったのですか?

和田:はい。まずはスキルレベルを提示して欲しいと言われたので、今までに作ったDVDと動画をいくつか送ったんです。積極的にアプローチしたことで、信頼していただけたのかもしれませんね。

ハイメ:送られてきたDVDは、日本語の音声で解説されていたので、なにを言っているのかわからなかったのですが、操作している映像を見ていれば和田さんの技術力や理解度の高さがすぐにわかりました(笑)。それで公認インストラクターになってもらったのです。

――和田さんがチュートリアルムービーを公開することで、日本でのZBrushの普及に一役買っているかと思いますが、国別のマーケットシェアはどこが一番なのでしょうか?

ハイメ:やはりアメリカが一番です。人口も多いですし、映画産業など大きな需要があるので当然かもしれません。ですが、日本も人口のわりにはかなり大きな市場になっています。先ほども話しましたが、映画やゲームだけでなく様々なジャンルで使われ始めているというのも理由かもしれませんね。

和田:わかりやすい実例がひとつありまして、私の販売しているDVDの購入者履歴を見ていると、映像制作会社、ゲーム開発会社だけでなく、宝飾系の会社や玩具会社などがここ最近で増えてきているんです。

――ZBrushはライバルとなるソフトウェアがありますが、それらを参考にアップデートすることはありますか?

トマ:それはありません。どちらかというと、ほかの3DソフトがZBrushを参考にアップデートしているほうが多いと思います。私たちは"アーティストが使いやすい機能はなにか?"ということを常に考えて開発しています。

――今後の展開を教えてください。

トマ:想像力を形にできるツールにしたいですね。今まで、紙にしか描かなかったクリエイターが簡単に3Dを創造できるようになるといいですね。自分が描いた漫画の中に出てくるキャラクターを、簡単に3D化できてキャラクターをあらゆる方向から見られるようになれば、新しい表現ができたりしますよね? そういったことがZBrushを使うと気軽にできるようになってほしいです。

また、ユーザーコミュニティーももっと大きくなって欲しいです。日本でもユーザーコミュニティーサイトを立ち上げています。このサイトではたくさんのユーザーがZBrushで制作したモデルをアップロードしてくれていますので、それを見て刺激を受けた人が新しくモデラーとなる……みたいなことが起これば楽しいですね。

ハイメ:やはりアメリカが一番です。人口も多いですし、映画産業など大きな需要があるので当然かもしれません。ですが、日本も人口のわりにはかなり大きな市場になっています。先ほども話しましたが、映画やゲームだけでなく様々なジャンルで使われ始めているというのも理由かもしれませんね。


ワンダーフェスティバル 2016[冬]の準備で多忙を極める中、快くインタビューをお受けいただいたお三方。取材日翌日に開催されたワンダーフェスティバル 2016[冬]では、ZBrushのデモを交えたセミナーを開催(もちろん、デモにはrayterkが使われていました)。

トマ氏のセミナーも、和田氏のセミナーも多くのお客さんが詰めかけZBrushへの関心の高さがうかがえる一日となりました。アーティストの表現活動に寄り添った開発をしていくと断言するPixologic社。今後のZBrushの進化からも目が離せません。

ワンダーフェスティバル 2016[冬]当日の様子
ワンダーフェスティバル 2016[冬]当日の様子

ZBrushについてくわしくはこちらから
https://pixologic.jp
http://zbrushcentral.jp – ユーザーコミュニティ
raytrek ZBrush 公認モデルはこちらから
http://www.dospara.co.jp/5shopping/search.php?tg=4&tc=603
ハイメ・ラベル氏
Pixologic
Chief Operating Officer
JAIME LABELLE(ハイメ・ラベル)氏
トマ・ルーセル氏
Pixologic
MARKETING DIRECTOR
THOMAS ROUSSEL(トマ・ルーセル)氏
和田真一氏
ZBrush公認インストラクター
BLESTAR 代表取締役
和田真一氏
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