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デジタルからくり装置づくりワークショップ

デジタルからくり装置づくりワークショップ

2016年7月2日土曜日、福島県郡山市にてNPO法人国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本)による「デジタルからくり装置づくりワークショップ」が行われた。IGDA日本はこれまでにも「東北ITコンセプト福島GameJam」「CEDEC&東京ゲームショウ スカラーシップ」など、次世代のゲームクリエイターの育成を目的としたイベントを数多く開催している非営利団体だ。

この度の「デジタルからくり装置づくりワークショップ」も、ゲーム制作に興味がある小・中学生を対象として、ゲームプログラミングの裾野を広げるべく企画された。今回は定員の10名を上回る14名の参加者が集まり、急遽午前と午後の二部構成によって行われた。

「デジタルからくり装置づくりワークショップ」では、実際に商業用ゲームにも用いられているツールを使って、物理演算によるドミノ倒しとボール転がしを組み合わせて、いわゆる「ループゴールドバーグマシン」、日本では「ピタゴラ的装置」として知られているものを、参加者全員でひとつの仮想空間に組み立て、動作させる事をゴールとしている。

デジタルからくり装置づくりワークショップ 完成ムービー

出展概要

会場: まなそび海賊団(福島県郡山市並木5-2-1)
会期: 2016年7月2日

イベント体験レポート

イベント体験レポート その1

今回は教材として、実際に数え切れないほどのゲームに用いられている定番のゲームエンジン「Unity」と、Gitクライアントの「SourceTree」が使用される。もちろん、子供向け、入門向けの開発環境は、他のツールも数多く存在している。しかし、ゲーム開発・プログラミングはチームプレイであるという事を知ってほしい、またプロが使う道具と同じ物を使ってほしいというIGDA日本の強い願いから、「Unity」と「SourceTree」が用いられる事になった。

他に今回の目的に適うゲームエンジンとしては「Unreal Engine」も挙げられるが、子供たちが自宅に持ち帰っても作業が続けられるようにとの配慮から、今回は軽量な「Unity」が選ばれた。

この「Unity」をドライブするパソコンとして、サードウェーブデジノスのクリエイター向けノートパソコン「raytrek QSF960HE」が選ばれた。最新の3Dゲームプログラミングをストレスなく実現させるために、インテル Core i7-6700HQ プロセッサーを搭載。グラフィックにはNVIDIA GeForce GTX 960M を採用した、デスクトップパソコンに相当するパフォーマンスを発揮するハイパワーなノートパソコンだ。

イベント体験レポート その2

簡単なアンケートが行われたのち、メイン講師の長久勝氏から、今回の目的が説明される。
1人が1つずつ装置を作り、次の装置にボールを渡す。その渡されたボールを受けて、さらに次の装置にボールを渡す。どこか1箇所でも装置が滞れば完成しない。また、ボール以外のパーツを次の装置にぶつけても、ボールを渡される前に動作を始めてもそれは完成したとは言えない。

実際、大人たちが行っている殆どの「仕事」は、1人で行うものではなく、このようにチームでひとつのものを完成させるのだ、という事が解説される。次に、使うツールの説明がされる。「Unity」はみんなが見た事があるようなゲームが作れるツール、そして「SourceTree」は、共同での作業を行うためのツール、といった具合に参加者の視線に併せたわかりやすい説明だ。

イベント体験レポート その3

さて、実際にゲームを制作する手順に移る。まずSourceTreeを使って、リモートリポジトリからプルを行う。いきなりの専門用語に何を言われたのかが理解できず、きょとんとする参加者だが、ネットワークを使い、全員の作業をひとつにドッキングさせるため、その元になる物を一人ずつの手元に持ってくる事だと説明によって、納得できたようだ。

開いたプロジェクトを、「Unity」の再生ボタンを押して実行してみる。ボールがゆっくりと倒れ、ドミノを倒し、さらにそのドミノが別のボールを押し、そのボールが次のステージへ落ちてゆく。そのような「ピタゴラ的装置」が再生された。それだけでも参加者たちは歓声を上げている。

イベント体験レポート その4

続いて、実際にステージを改造していく。改造とは言っても、プログラミングを最初から勉強していくには今回のワークショップでは短すぎる。そのため、あらかじめステージに配置されているパーツの大きさを変えたり、並べ方を変えたりしながらの改造となる。「Unity」には物理演算エンジンが組み込まれているので、まさにゲーム感覚でステージを作り変える事ができる。

アンケートの時にはたどたどしかった参加者の手つきもマウスを用いた3Dの操作には慣れが見られる。3Dゲームに日頃から親しんでいるためか、カメラのズーム・パンや拡大・縮小、あるいはパーツの並べ替えなどは全く抵抗なくできているようだ。

また、大人では想像もつかないような奇想天外なステージの改造が施されていく。床を外す、壁を取り払う等、ゲームとしての機能が保てなくなるような事はもちろんだが、物理演算である事を利用してどこまでパーツを弾き飛ばせるのかを試す者、パーツが触れた時に爆発音が出るのを利用し、どれだけ連続して爆発音が出るのかを試す者、さらにパーツを画面に入りきらなくなるほど大きくする者など、思うように楽しんでいる。

イベント体験レポート その5

さて、それぞれでステージを作ったステージを、コミットを行いリポジトリにプッシュする。ここでもおそらく参加者にとっては初めての専門用語が登場しているが、それぞれテーブルごとの講師の指導の元、各々が次々にコミットを終える。それをメイン講師の長久氏がマージして、いよいよ再生してみる。ところが、やはりというか、うまく動かない。

最初のステージをスタートして2つ目のステージへ移行する前にゲームが終了している。おそらく、最終ステージの部品が勝手に倒れて、ゲームが終了したと判断されているようだ。ところが、このような失敗にも関わらず、参加者は全員一応に笑顔でその様子を見ている。

もう一度、1人ずつに作業を差し戻し、1人ずつがステージの改良に取り掛かる。さらにそれをコミットして、マージ、テストプレイ、といった手順が繰り返される。これらも実際のプログラミングにおいて繰り返される手順そのものと言えるだろう。

イベント体験レポート その6

一方で、自分の担当ステージに問題がなかった参加者、それ以上のステージの改造に興味がない参加者は、ステージの装飾をスタートさせた。各ステージには腕をぐるぐる回す人形が設置されている。型紙に塗り絵の要領で絵を描き、それをPCのカメラで取り込む事によって、自分の描いた絵をステージに動く人形として設置できるのだ。ここでも、納得のいくまで絵を描き直す者、またシーソーや橋など、次々に新しいギミックを考えパーツを配置し続ける者など、参加者によって個性が分かれる事になる。

イベント体験レポート その8

その後も度々コミット、マージ、テストプレイを繰り返し、ワークショップ開始から2時間半、終了の時間がやってきた。参加者は小・中学生という事ではあるが、息つく間もなく全員が集中してプログラミングを行い続けていた。今回は残念ながら、全員のステージを連続して動作させる事はできなかったが、極めて真剣に取り組んでいた事と常に笑顔と歓声で溢れかえっていた事が印象的なワークショップであった。

また、このワークショップの期間中、raytrekは「Unity」と「SourceTree」を全くトラブルなく安定動作させ続け、プログラミングの快適性に貢献していた。プログラミング用に専用の高性能PCを用意する事は、今後の常識になっていくだろう。

イベント体験レポート その9

今回のワークショップの目的について、ゲームのサーバーサイドソリューションのエンジニアとして活躍する傍ら、IGDA日本の執行部を務める長久勝氏は、次のように語ってくれた。

IGDA日本としては、震災の後から福島で子供向けのワークショップを行って来ました。子供達に喜んでもらって、笑顔になってもらえれば大人たちも元気になるという事で、福島で毎年ワークショップを開催していましたが、それを東北だけではなくて、他の地方でも体験してもらったほうが良いのでは思い、その為の組織である「SIG-for NextGeneration」を立ち上げました。今回がその初回イベントになります。

現在、文部科学省が主導する新しいカリキュラムとして、小学校からプログラミングを行おうとしています。それに沿うような形で子供にプログラミングを教えるイベントが多く開催されています。新しい教育ビジネスですからベンチャー企業も盛り上がりを見せていますが、その多くが東京で行われていて、ほんの少し離れた地方ではほとんど行われていません。商業として行うには、採算を取らなくてはいけないので人口が多い東京が多くなるのは当然です。

しかし、教育機会は住んでいる地域に関わらず、均等に提供されるべきだと考えています。そこで我々のようなNPOができる事があるのではないか、と思っています。地方在住のために、そんなプログラミングなど見た事もない、という子供達にどれだけ教育を届けられるか。また、その教育がきっかけとなって、将来の仕事にしてみよう、というきっかけになればいいなと考えています。東京がいくら人口が多いとは言っても、日本の70%は東京都市圏外在住者です。地方にそういう土壌を育てて、人材が出てきてくれる事を願っています。

イベント体験レポート その10

また、国が主導してプログラミング教育を学校を通じて全員に行う事も出来るでしょうが、向いていない人がその仕事に就いたところで一流として活躍するのは難しいと感じています。ソフトウェアの生産性は、適性がある人はない人の100倍、という話があります。ある程度の適性があって、その適性になるべく早いうち、若いうちに気がついてもらう事が発展のために必要だと考えています。今日のワークショップに集まってくれた子供達から、1人でも2人でも興味を持ってもらって、高校・大学と学習を深めていってもらえたらと考えています。

また、今回ツールとしてSourceTreeを選んだ理由としては、最新の最も良い環境をベースに子供達に考えて欲しかったからです。今現在、大人たちであってもプログラミングという仕事は個人に帰着するものと誤解している人が多くいます。1人で勉強するのも大切なのですが、みんなで物を作っていくという事が体験できなければ実情にマッチしているとは言えません。それが体験出来なければ、教室の中の学習の領域を出られないのです。

最新の環境を体験しておけば、思考はそれを基準に成り立ちます。将来、学校や仕事に取り組む事になった場合に、今の自分のやり方は古いのではないか、間違っているのではないか、という考え方が身につくようになります。

イベント体験レポート その11

我々はゲーム業界で働いているので、面白くないものには一所懸命取り組まないという事はよく理解しているつもりです。そのため、今回のワークショップでは、「Unity」を使ってパーツを並べ替えたりするような「レベルデザイン」と呼ばれる作業をメインにしています。

子供にプログラミングを学んでもらう上で、コードを書いたりロジックを設計するような事はまず無理ですが、積み木や粘土、ブロックのようなものの共同作業であれば、うまく理解出来るだろうと考えて、今回の教材に落ち着きました。また、その「レベルデザイン」が面白くないと感じる子供達のためには、キャラクターの絵を描くといった仕事を用意しました。実際のゲーム制作にも大勢の人が関わっていて、違う事をやっている人が合わさって、一つのものが出来ているというのを体験して欲しいと考えました。

最後に、地方の方で、今回のような活動に興味がある、やりたかったが出来なかったという方は、是非お声がけいただけたらと思います。我々はどんどんと地方へ向かいますので、一緒に盛り上げていきましょう。

イベントに使用されたraytrekノートパソコンシリーズ

クリエイター向けデスクトップと遜色ない性能をノートパソコンに凝縮。
ノートだから、可搬性に優れるだけでなく、急な停電にも対応可能。極めて容易に高性能、高信頼なクリエイティブ環境が構築可能です。

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