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Blackmagic Design ハンズオンセミナー シネマカメラ編・RAWグレーディング編

Blackmagic Design ハンズオンセミナー
シネマカメラ編・RAWグレーディング編

今回のセミナーは「シネマカメラ編」と「RAWグレーディング編」の二部構成で行われた。「シネマカメラ編」では Blackmagic から販売されている各種「Cinema Camera」を、「RAWグレーディング編」では「DaVinci Resolve」を参加者各自に用意されたパソコンで使用しながらのセミナーとなった

出展概要

会場: 株式会社システムファイブ PROGEAR半蔵門 セミナールーム
会期: 2016年5月27日

第一部:シネマカメラ編 セミナー体験レポート

■映画・ドラマ・CMに活躍する新しいデバイス「シネマカメラ」

イベント体験レポート その1
シネマカメラは、動画を撮影するための比較的新しい概念のカメラだ。従来、フィルムによる撮影が行われていた映画・ドラマ・CMの撮影は、現在このシネマカメラに急速に置きかわりつつある。ビデオカメラとは異なる思想で開発されたシネマカメラとはどのようなものなのだろうか。
また、シネマカメラで撮影した動画は、作品として見られるようにするために「グレーディング」と呼ばれる作業が必要だ。このグレーディングとはどのような作業なのか。さらに実際の作業はどのように行っていくのか。

それらの疑問を解決するセミナーが、Blackmagic Design により2016年5月27日に開催された。Blackmagic Designは、片手でも持てる軽量な「Blackmagic Cinema Camera」や、カラーグレーディングの標準となりつつある「DaVinci Resolve」等、映像の最先端技術を採用しつつも普及価格帯を実現、トレンドを牽引するハードウェア・ソフトウェアを数多く開発している。

■動作確認済みPC、raytrek QSF960HE DaVinci/Fusion Entry

イベント体験レポート その2
これらのセミナー用に用意されたのが、創る人のPCブランド「raytrek」だ。「raytrek」の DaVinci Resolve 動作確認済みモデルは複数のラインナップがあるが、今回はノートパソコンの「raytrek QSF960HE DaVinci/Fusion Entry」が用意された。CPU にはインテル Core i7-6700HQ プロセッサー、RAW グレーディングの要となる GPU は NVIDIA GeFore GTX960M を搭載している。さらに、最新のストレージ用インターフェース Socket M.2で接続される250GBのSSDと、SATA接続の1TBのハードディスクを搭載。帯域が必要なデータのリアルタイムストリーミングには SSD を、保存領域としてはハードディスクを利用するといった効率的な運用がノートパソコンだけで可能だ。

もちろん、USB 3.0 を用いて外付けの SSD、HDD など高速ストレージを拡張することもできる。さらに、旧世代の OS が推奨されることが多い映像制作・編集向けの PC としては貴重な、Windows 10 を採用。もちろん「DaVinci Resolve」の動作は確認済みなので、最新の OS によって引き出されるハードウェア・ソフトウェアのパフォーマンスとサポート期間の長さを享受できるのは大きなメリットだ。

■シネマカメラの普及を加速させる Blackmagic design の商品ラインナップ

イベント体験レポート その3
第一部の「シネマカメラ編」は、Blackmagic design の商品を中心として、シネマカメラの特徴についての説明からスタートした。2012 年 8 月に「Blackmagic Cinema Camera」として発売された最初の製品は、13ストップ(絞り)のワイドなダイナミックレンジ、Cinema DNG RAW、ProRes フォーマットでの録画、SSDレコーダーを内蔵しつつ、両手に収まる程度のサイズを実現した画期的なモデルで大ヒットを記録。また「Blackmagic Micro Cinema Camera」は、13ストップのダイナミックレンジ、MFTレンズマウントに対応した「アクションカメラ」のシネマ版と呼べる商品だ。

マルチコプター・ドローンを使った空撮や、ヘルメットへの取り付けなど、様々なシーンで活躍するシネマカメラだ。さらに最新の「Blackmagic URSA」は、自社開発による 15 ストップの広いダイナミックレンジを持つ、35サイズのセンサーを搭載。最大 4.6K の撮影が可能。廉価にレンズを揃えられる DLSA(デジタル一眼レフ)マウントを備えたモデルと、映像機器の資産が活かせるシネマレンズ用 PL マウントを備えたモデルをラインナップしている。当日の会場には、参加者それぞれにBlackmagicの特徴あるシネマカメラが用意されていた。

■ビデオカメラとシネマカメラの違い

イベント体験レポート その4

今回のテーマであるグレーディングが、通常、ビデオカメラの場合は必要が無く、シネマカメラでは必要とされるのも特徴だ。報道やスポーツなど、撮影したものをすぐに利用する状況ではビデオカメラを、映画やCMなど、映像を作りこんでから利用する用途ではシネマカメラを用いるという。また、用語について、センサー感度のことはビデオカメラではゲイン、シネマカメラではISOと呼ぶ。同じようにシャッターについてはそれぞれシャッタースピード、シャッターアングルと呼びかたが異なる。これはそれぞれの成り立ちによる呼び方の違いだと考えられるだろう。

さらに、現在のシネマカメラの普及はキヤノンのデジタル一眼レフカメラ EOS 5D MK3の影響が大きいと言われている。35ミリ・フルサイズのCMOSを搭載、普及価格帯で発売された EOS 5D MK3 は、そのセンサーの大きさからフィルムライクで多彩な表現を可能にし、プロ・アマチュアを問わず数多くの動画撮影に用いられた。また、フィルムの代替えとしてCM撮影などに用いられ始めたたことをきっかけとして、動画用の専用機として現在のシネマカメラが普及してきたということだ。

■レンズによる画像の違い

イベント体験レポート その5
次に、広角・ズーム、フォーカスなど、レンズの基本的な知識についての説明が、過去の著名な映画の実例と共に解説された。
『市民ケーン』(1941年、監督:オーソン・ウェルズ)では、広角レンズの特徴を活かし、パンフォーカスと呼ばれる前景から背景まで幅広いゾーンでピントを合わせ、広さを感じる、構図で描かれている。逆に、『スターウォーズ/フォースの覚醒』(2015年、監督:J.J.エイブラムス)では、絞りを開放し、フォーカスしているものにだけピントを合わせ、レンズのボケ味を活かす手法を用いて表現されている。それぞれの時代によるトレンドもあるが、作り手の考え方がレンズの選び方・機能を通じて描かれていると言えるだろう。

■撮影時の注意は少しだけ、後から修正できるのがRAWのメリット

イベント体験レポート その6
いよいよ、用意されたカメラを使って、参加者各自での撮影に取り掛かる。撮影前の注意点として、フレームレート・解像度・コーデックの3点をよく考えてから撮る。撮影時にはフォーカス、明るさ、画角の3点に気をつけるという解説があった。RAW で撮影すると、ホワイトバランス・ISOなどは後ほど修正が可能であるために、必要な部分にのみに注意を集中できるのだ。各自のカメラに関しての簡単な解説の後、サンプル被写体の撮影に取り掛かった。

イベント体験レポート その7
今回のサンプル被写体には、「Spyder Checker 24」のカラーチャートが置いてある。これは後ほど、カラーチャートを使って自動的にグレーディングを行うためのものだ。そのため、各自最低1カットはカラーチャートを含む映像を撮影した。その後、参加者自らで撮影したファイルをPCへコピーした。そのような単純な作業であっても、「raytrek」の搭載するUSB3.0の高速な転送により、セミナー中の作業時間を最小限に抑えることができた。

■カラーチャートを用いたオートグレーディング

イベント体験レポート その8

早速、カラーチャートを撮影した映像を使い、グレーディングの最初の項目を行う。使われているカラーチャートの種類「Spyder Checker」を選択し、カラーチャートが写っている場所を画面上で選択することで、自動的に色の調整が行われる。カラーチャートを使うことで、グレーディングの最初の工程を一気に進めてしまえるのだ。

イベント体験レポート その9
さらに、「ダイナミックズーム」を用いて、撮影した画像を後から拡大するズーミングの実演も行われた。これらは、シネマカメラを用いて高解像度撮影を行うメリットが存分に発揮されていると言えるだろう。今回、参加者に用意されたノートパソコン「raytrek」は、CUDA対応のパワフルなGPU「NVIDIA GeForce GTX960M」を搭載している。4K解像度のRAWという大きなファイルでありながらも、その動作にストレスは感じられなかった。

最後に、DaVinci Resolveの「デリバー」を使い、編集ソフト側で扱えるファイル形式にグレーディングの内容をそのまま書き出しす方法が解説された。もちろん、DaVinci Resolveにも編集機能を備えているので、これだけで映像制作を完結させることも可能だ。

ここで、「シネマカメラ編」のセミナーは終了。今回参加された方は、全員がこの後に行われるRAWグレーディング編にも引き続き参加いただいた。

第二部:RAWグレーディング編 セミナー体験レポート

■ソフトウェア・ハードウェアの能力を最大限引き出すためのOS設定

イベント体験レポート その10

第二部の「RAWグレーディング編」の最初に、DaVinci Resolveを扱うのに適したハードウェア設定の解説が行われた。OSにWindows、グラフィックプロセッサにNVIDIA製品を搭載しているraytrekでは、GPGPUであるCUDAの能力を活用するための設定を行うことによって、より快適なグレーディングを行うことが可能だ。

まずは、スタートボタンを右クリックし、コントロールパネルを表示。「電源の設定」で「最大パフォーマンス」を選択する。最新のPCは優れた省電力機能を搭載しており、利用されるするほとんどの場面において省エネルギー化とパフォーマンスを両立している。しかし、CPUクロックを上下させて消費電力をコントロールするこれらの機能は、リアルタイムなレスポンスを重視する映像編集ソフトウェアとの相性はあまり良いとは言えない。そのため、省電力機能によるCPUのコントロールを最小限に抑え、リアルタイム性を最大限発揮するための設定だ。当然、消費電力は多くなってしまうが、それはパフォーマンスとのトレードオフとなる。

イベント体験レポート その11
続いて、「NVIDIA コントロールパネル」から「グローバル設定」を「高パフォーマンスNVIDIAプロセッサ」に、「プログラム設定」の「DaVinci Resolve」の項目を「高パフォーマンスNVIDIAプロセッサ」に変更する。この設定により、GPUによるアクセラレーションが常時有効となる。電源設定と同じように、DaVinci Resolveのパフォーマンスを最大限発揮するには必須の設定となるので、是非とも覚えておいて頂きたい。
イベント体験レポート その12
イベント体験レポート その13

■静止画と同じ感覚でも使える RAW グレーディングのパラメーター

イベント体験レポート その14

実際のグレーディングに取り掛かる。今回の参加者は、すでに業務で DaVinci Resolveを用いた RAW グレーディングを行っているユーザーが多く、セミナーはハイペースで進められた。最初に Cinema DNG RAWデータをDaVinci Resolveに取り込み、3つのタイムラインに配置した。表示されるのは青っぽく、コントラストの薄い映像だ。それをカラーグレーディングで意図した通りの絵作りを行っていく。

「プロジェクト設定」で、カラースペースを標準のRec 709からフィルムモードに変更する。Rec 709を設定すると、ビデオカメラに近い、肉眼で見たようなものが簡単に得られるが、今回はカラーグレーディングを行うために、Blackmagic design film modeに変更する。Cinema DNG RAWで撮影された映像は、ダイナミックレンジが極めて広く、白飛び、黒つぶれしにくいのが特徴だ。その広いダイナミックレンジをこれから追い込んでいくことになる。

グレーディングはプロジェクトごとだけではなく、クリップごとに設定することも可能だ。Cinema DNG RAW データで撮影されていれば、「Camera Raw 設定」から ISO 、露出の補正等が可能。さらに、建築や風景についてはシャープネスを上げることでクッキリさせることや、ハイライト・シャドウ・彩度の調整、カラーブーストもスムーズに実現できる。後ほど紹介する Midtone detail は人物のシワを自然に消し去ることまで実現している。また、これらのカラーグレーディングはPhotoshopなど写真のRAW現像に近い感覚で扱えることが大きな特徴だ。フォトグラファーにも馴染みのあるパラメーターを用いてグレーディングができるのは大きなアドバンテージと言えるだろう。

■スコープを用いたきめ細やかなグレーディング

イベント体験レポート その15

もちろん、動画のグレーディングとしてポピュラーなインターフェースである「スコープ」を用いた作業も可能だ。スコープは波形・パレード・ベクトル・ヒストグラムの4種類があるが、今回は主にパレードを用いてセミナーが進められた。また、ここまではCinema DNG RAWで撮影されたデータをまさしくRAWの状態からグレーディングを行ってきたが、LUT(Look Up Table)と呼ばれるカメラメーカーなどから提供されているグレーディング用のテンプレート・データを使って、簡単にグレーディングを行うこともできる。このLUTはプロジェクトだけでなく、ノードや、モニターに出力する際の設定としても利用できる。

さらに一歩を踏み込んで、全体のグレーディングではなく、一部の要素のみをグレーディングする場合には「ログモード」を用いる。
1. オフセットでブラックポイントを定める。
2. RGBバランスを整える。
3. 彩度を整える。シャドウ・ミッドトーン・ハイライトを動かし、好みの色を作る。
の3ステップで解説がされていた。これらの作業は、GPUに大きく依存するが、今回のraytrekはほぼリアルタイムな処理が可能になり、参加者を驚かせていた。

また、最後にはクオリファイアーとマスクを用いて女性の唇を選択し、赤を際立たせたり、あるいは顔をトラッキングして肌をきれいにする、といった技術も紹介された。

■グレーディング用としてのWindows搭載パソコンの選択肢

イベント体験レポート その16

今回のセミナーの題材となったDaVinci Resolveは、カラーグレーディングにおける様々なリアルタイムプロセッシングを可能にするためにNVIDIA CUDAテクノロジをサポートしている。NVIDIA CUDAテクノロジーとは、主に3DCGのリアルタイムレンダリングに用いられていたGPU(グラフィックプロセッシングユニット)を、主にCPUを用いていた演算にも利用することによって、CPU単独で成し得ない高速の処理を可能にする、GPGPU(ジェネラルパーパスGPU)技術だ。

DaVinci Resolveは、このCUDAテクノロジーを、UIの描画・画像処理・レンダリング・エンコーディングなど殆どの局面で活用している。この度用意したraytrek QSF960HE DaVinci/Fusion Entryは、CUDA テクノロジー対応の高性能GPU NVIDIA GeFore GTX960Mを搭載している。この価格帯でGPGPU対応ノートパソコンが選択できるのは、Windowsパソコンならではのメリットと言えるだろう。

さらに、DaVinci Resolveは、複数のGPUを使ったCUDAにも対応している。1台をUIの描画、その他を画像処理といった具合に使い分けることによって、より快適な処理が可能になる。Windows搭載PCでは、BTOでマルチGPU搭載PCも手軽に作れるのが魅力だ。

前半2時間、後半2時間のセミナーでは、DaVinci Resolveの持つ豊富な機能を全て解説することは難しいと感じたが、RAW グレーディングを行うにあたっての基本的な知識は身につけられたのではないだろうか。また、セミナーを通じて初めてWindows 搭載 PCでのグレーディングに触れていただいた参加者も多く、圧倒的なコストパフォーマンスの良さに驚きの声が上がっていた。

■DaVinci Resolve/Fusion 動作確認済みPCシリーズはこちら
http://www.dospara.co.jp/5shopping/search.php?tg=4&tc=612
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